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アナフィラキシー

アナフィラキシーとは?

アナフィラキシーとは、特定の物質に対する体の強いアレルギー反応のことです。命に関わる強いアレルギー反応であり、早急な対処が必要です。

アナフィラキシーという言葉は、1902年に犬とクラゲの毒素を用いた研究で初めて登場しました。ギリシャ語の「a-(反対)」と「phylaxis(保護)」を組み合わせたもので、意図した免疫保護の代わりに生じる「逆の反応」を意味しています。1)

メカニズム

アナフィラキシーのメカニズムにはいろいろなものがありますが、代表的な機序に、IgEの関与するものがあります。

アレルゲンが異常に免疫系を活性化してしまうことで、マスト細胞や好塩基球から多くのヒスタミントリプターゼTNFなどのメディエーターが放出されます。1)結果として、血管透過性の亢進や、気道の収縮などが起こります。1)

血管透過性の亢進により、血管内の水分は血管外(組織)へと漏出することになります。そのため、血圧低下や浮腫などが生じます。また、気道の浮腫や気道の攣縮により呼吸が苦しくなったりします。

アナフィラキシーの症状は多岐にわたりますが、簡単にまとめると、下記のようになります。

症状

呼吸の症状

喉の腫れ、息苦しさ、喘鳴(ゼーゼーとした呼吸)

循環動態への影響

血圧低下、めまい、意識消失

皮膚

じんましん、顔や唇の腫れ、発赤

消化器

吐き気、嘔吐、腹痛

主な原因

アナフィラキシーを引き起こす原因はさまざまですが、以下のようなものが挙げられます。

食べ物

アレルギーをもつ食べ物を摂取することにより、アナフィラキシーを起こすことがあります。

薬剤(抗生物質、解熱鎮痛剤など)

薬のアレルギーときくと、薬疹などを思い浮かべるかもしれません。薬剤でもアナフィラキシーを引き起こすことがあります。

虫刺され(ハチ、アリなど)

ハチは1回めよりも2回め以降の方が注意が必要、と聞かれたことがある方もいるのではないでしょうか。1度ハチに刺された場合は、血中の抗体を測定することなどによって、次にハチに刺されたときにアナフィラキシーとなるリスクを評価することもあります。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA:food-dependent exercise-induced anaphylaxis)

食べ物を食べた直後だけでなく、食べたあとに運動することでアナフィラキシーが引き起こされることがあります。食後から2時間以内、運動開始から発症まで1時間以内が多いですが、食後4時間の運動で発症したという報告もあります。

アナフィラキシーの分類

Uniphasic(単相性)

多くのアナフィラキシーがこのタイプです。

Protracted(遷延性)

明確に軽快せず、数時間から数日続く場合。

Refractory(難治性)

複数回のアドレナリン投与を行ってもアナフィラキシーが続く場合。

Biphasic(二相性)

初めの反応の後、1時間以上の無症状の期間があり、その後アレルゲンへの暴露がないのに2回目の症状が出現する場合。無症状期間は最大で48時間におよぶことがあります。

対処方法

アナフィラキシーでは、すぐにエピネフリン(アドレナリン)を投与することが大切です。エピネフリンの使用が遅れると、アナフィラキシーからの回復が遅れることが報告されています。2)

1. エピペンの使用

エピペンは、エピネフリン(アドレナリン)の自己注射器です。

医師からエピペンを処方されている患者さんは、医師の指示に従い、適切にエピペンを使用してください。

2. 助けを呼ぶ

不測の事態にも対応できるように、周囲の助けを呼びましょう。

3.救急車を呼ぶ

エピペンを使用しても、症状が再発することがあるため、必ず救急車を呼び、医療機関での診察を受ける必要があります。

4.体位

アナフィラキシーを発症した場合には、仰臥位にして安静にすることが推奨されています。2,3)下肢を挙上させたり、嘔吐などがある場合には横向きにねかせましょう。

まとめ

アナフィラキシーは迅速な対応が命を救う重要なポイントです。当院ではエピペンの処方も行っております。心配なことがある方は、当院までお気軽にご相談ください。

参考文献

1)UpToDate:Pathophysiology of anaphylaxis

2)UpToDate:Anaphylaxis: Emergency treatment 

3)日本アレルギー学会:アナフィラキシーガイドライン2022 

 

免責事項
  • この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最適な医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。
  • この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。
  • 記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。ご意見、ご指摘はこちらからお願いします。
この記事の執筆者

豊田かなでクリニック
院長:加藤友大

医学博士、日本内科学会 認定内科医、日本循環器学会 循環器専門医

2025年11月、「正しい情報に基づいた患者中心の医療」を実践するために、豊田かなでクリニックを開院。「おいでん病気ペディア」では、しっかりとした医学的な根拠に基づき、不必要に不安を煽らない情報の発信を行っています。

Web問診・オンライン予約・オンライン診療などのデジタルトランスフォーメーション(Dx)を取り入れ、「スムーズな体験で健康管理をもっと手軽に」するクリニックを目指しています。

今後は、AIトランスフォーメーション(AIX)を積極的に取り入れ、温かな医療で地域の皆様の健康を守る「未来の医療のカタチ」を創っていきたいと考えています。

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最終更新日:2025/3/4

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