メニュー

糖尿病の検査【糖尿病専門医監修】

豊田市・岡崎市で糖尿病の検査をご検討中の方へ。豊田かなでクリニックでは、血糖値やHbA1cなどを中心とした糖尿病検査を行い、早期発見と適切な管理をサポートしています。

この記事では、糖尿病の検査や検査結果の見方について内科医がエビデンスに基づきわかりやすく解説します。

✔糖尿病は、その原因を知ることが大切です。

✔合併症の状況などを含めてご自身の状況を把握し、よりよい治療につなげましょう。

糖尿病の原因と合併症について

糖尿病の治療について

糖尿病についての検査は大きく2種類あります。ひとつは血糖値が高いかどうかなど、糖尿病の診断や血糖コントロールを確認するための検査、もうひとつは合併症が進行していないか確認する検査になります。

糖尿病の診断・血糖コントロール確認のための検査

糖尿病の診断は、血糖値の測定、HbA1cの測定や、経口ブドウ糖負荷検査(OGTT)などにより行います。当院では、当日中に、10分程度で結果がわかる血糖値、HbA1cの迅速検査機器を導入しています。

空腹時血糖

正確には、10時間以上絶食時の「早朝空腹時血糖値」のことを指します。正常値は70〜110mg/dlです。

随時血糖

食事摂取に関係のない血糖値のことで、通常は「食後血糖値」のことを指します。正常値は140mg/dl未満です。

血糖値についてもっと詳しく

血液中のブドウ糖の濃度のことを、血糖値といいます。正常は空腹時血糖70-110mg/dLとなっています。前述したとおり、糖尿病の方は血糖値が高くなっています(そもそもその状態を糖尿病といいます)。通常、糖尿病がない方ではさほど食事を多くとったりとらなかったり、運動をしたりしなかったりしても大きく血糖値が変化することはありません。一方で、糖尿病といわれていなかったとしても、糖尿病のごく初期の方の血糖値は食事や運動の影響などで変化します。例えば、食事をした後は、食事中の糖分(ブドウ糖)が吸収されるため血糖値が上昇します。一方、運動をすると血中のブドウ糖は筋肉内に取り込まれるため血糖値が下がりやすくなります。健康診断では、朝食前の空腹時血糖で検査を行うことが一般的です。しかし糖尿病の初期段階では空腹時血糖は通常通りでも、食後に急激な血糖上昇が見られることが多くあるため、見逃される可能性があることに注意が必要です。

HbA1c(グリコヘモグロビン)

過去2〜3ヶ月間の血糖値の平均を反映します。

HbA1cをもっと詳しく

HbA1cは、糖尿病の診断、治療状況を把握するうえで最も重要な指標の一つです。血糖値は食事や運動によって常に変化します。血糖値はその瞬間を反映したものになります。それに対して、HbA1cは過去2-3か月の血糖値の平均値を示したものになります。たまたま運動した、食事を抜いた程度では大きな影響を受けません。そのため、血糖値が高い状態が継続しているかどうか診断するためだけでなく、血糖コントロールの状況を中長期的に確認するためにも用いられます。ただ、一方で血糖スパイクといった急激な血糖変動を測定することは向いていません。 日本人間ドック・予防医療学会では、HbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)の基準値を5.5%以下としています。6.5%以上を糖尿病型といい、糖尿病が強く疑われる状態のことです。ただ、たとえ6.5%未満であったとしても、境界型といわれる、糖尿病の一歩手前の状態である可能性も十分にあったり、一部の方では糖尿病の可能性が否定できなかったりするため注意が必要です。 HbA1cを用いて血糖コントロールの状況を中長期的に確認することで、合併症を予防できることが分かっています。合併症予防の観点からはHbA1c7.0%未満を目指すことが一つの目標となります。ただし、年齢や合併症の有無によって目標値は異なります。主治医の先生と相談して、ご自身の血糖コントロールを相談していただくことが重要です。

糖尿病診療ガイドライン2024より抜粋

GA(グリコアルブミン)

過去2週間の平均血糖値を反映します。HbA1cの値を指標とできない場合(貧血、肝硬変、血液透析など)に測定します。基準値は11〜16%です。

経口ブドウ糖負荷検査(OGTT)

基本的には糖尿病とまだ診断されていない人に対して行う検査です。糖尿病の初期では空腹時血糖だけでは糖尿病と診断できない人がいます。そのため、実際に75gのブドウ糖を含んだジュースを飲んで頂き、飲用前、飲用30分後、60分後、120分後の計4回採血検査を行い、それぞれの血糖値とインスリン濃度を測定します。境界型糖尿病などの診断や、インスリンの分泌状況などを調べることができます。

糖尿病の臨床診断のフローチャート:文献1より抜粋

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)による判定区分と判定基準:文献1より抜粋

 

糖尿病のその他の検査

抗GAD抗体

多くの1型糖尿病の方で陽性なります。

IA-2抗体

抗GAD抗体が陰性で、1型糖尿病が疑われる方で測定されます。

血清Cペプチド

空腹時に測定し、インスリン分泌の指標になります。この数値が低いと自己のインスリン分泌が十分でないことになります。空腹時血中Cペプチド値が0.6ng/mL未満の場合はインスリン依存状態の可能性が高いとされます。1)また、この血清Cペプチド値を空腹時血糖値で割り、100をかけたものをCPRインデックスと呼び、CPRインデックスが0.8〜1.0以下ではインスリン療法を要することが多いとされています。1)

腹部エコーなどの画像検査

主には膵臓の病変の有無を確認する目的で、腹部エコーなどが行われることがあります。

CGM(持続血糖測定)

24時間、血糖値を持続的に測定します。(当院では行っておりません。)

合併症が進行していないか確認する検査

尿検査

微量アルブミン尿や、蛋白尿を確認します。腎臓の合併症(糖尿病腎症)が進行すると、まず、尿中アルブミンが陽性となります。さらに進行すると、尿蛋白が陽性となります。

眼科の受診

糖尿病の合併症に、糖尿病網膜症があります。定期的に眼科受診をしてください。

血管障害の検査

必要に応じて、心電図検査、動脈硬化の検査などが行われることがあります。

合併症を確認する検査をもっと詳しく

糖尿病合併症は、糖尿病が発症してから5-10年近くたってから症状として現れます。ただ、糖尿病自体、発症早期に症状がないことが大半です。初めて糖尿病と診断されていたとしても、実は何年も前から糖尿病が発症していたということもあります。そのため合併症がでて初めて 糖尿病と診断される人もいます。また、HbA1cが低い(目安として7%未満)と糖尿病の合併症が起こりにいくいといわれています。定期的に糖尿病の合併症が進行していないか確認する必要があります。

代表的なんものとして以下のような検査があげられます。どのくらいの頻度で行えばいいか、ということについては、その人が糖尿病といわれて何年たっているか、現在の血糖コントロールの状況などによってかわります。主治医の先生と相談することが重要です。また、糖尿病の合併症の検査は内科だけで完結することはなく、必要に応じて他の診療科(眼科や歯科など)の受診も必要となります。

尿たんぱく/尿中アルブミン検査

糖尿病の合併症である糖尿病性腎症の進行を確認する検査です。腎臓がダメージを受けると血液検査ではクレアチニンの値が上昇したり、eGFR(推定糸球体ろ過量)が低下したりすることがあります。しかし、血液検査で変化がでるよりもっと早期に尿検査では変化を認めます。また、以前は尿たんぱくがでてから血液検査の結果が悪化してくるといわれていましたが、近年では尿たんぱくが陽性になるよりも前から尿中アルブミンが上昇してくるということが分かり、より早期に糖尿病性腎症の進行を確認し、より早期から治療介入することが重要だとわかってきました。

下記は、糖尿病性腎症病期分類2023からの抜粋です。

神経伝導検査

糖尿病によって末梢神経が障害されると、人によっては「ピリピリチクチクした感じ」「砂利道の上を歩いている感じ」「足の裏に薄皮がはた感じ」などと表現されることがあります。しかし、実は一番多いのは「何も感じない」なのです。ただ、何も感じないから問題ないというわけではありません。それは、神経自体が正常に働かなくなってしまい、症状を感じなくなってしまっているのかもしれません。そうなると、巻き爪などからできる傷ややけどなどの痛みに気が付けなくなり、その間に重症化し、きずの部分から腐りだしてから初めて気が付く方もいらっしゃいます。 常日頃から足にきずができていないか目で見て確認することが最も大事です。それに加えて、神経伝導検査(主にふくらはぎの腓腹神経の神経伝導検査)によって、症状がなかったとしても実は足先の細かい末梢神経が障害されているか確認することができます。

眼底検査

初期には症状がでませんが、眼の奥では徐々に悪化していることがあります。基本的には特殊な検査機器を使用することが多いため、まったく問題なかったとしても6-12か月ごとに眼科に受診する必要があります。

動脈硬化に関する検査

高血糖状態が継続すると、動脈硬化が進行してくることが分かっています。動脈硬化では血管が硬くなるだけですが、一部の方では血管の中が詰まりかけてしまうことがあります。動脈硬化の進行具合や血管の詰まり具合を測定するために、腕と足の血圧の差を確認する(ABI検査)ことで測定することができます。

歯周病に関する検査

歯周病は糖尿病の第6の合併症といわれるほど、糖尿病との関連がいわれており、歯周病の治療自体が血糖値の悪化を防ぐことにもつながるといわれています。歯を抜かなくて済むように、また糖尿病の治療のためにも、定期的に歯科に受診が必要です。

まとめ

糖尿病の検査としては、血糖値やHbA1cが広く知られていますが、それ以外にも病態をより詳しく把握するための検査があります。現在のご自身の状態を正確に知ることが、よりよい糖尿病治療への第一歩となります。

豊田市・岡崎市エリアにある豊田かなでクリニックでは、75gブドウ糖負荷試験(OGTT)やCペプチド検査を行っています。検査結果に基づき、お一人おひとりに合わせた治療方針やお薬のご提案を行います。

血糖値の異常を指摘された方や、糖尿病の症状が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

糖尿病の原因と合併症について

糖尿病の治療について

参考文献

1) 日本糖尿病学会糖尿病診療ガイドライン2024

 

免責事項
  • この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最適な医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。
  • この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。
  • 記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。ご意見、ご指摘はこちらからお願いします。
この記事の執筆者

豊田かなでクリニック
院長:加藤友大

医学博士、日本内科学会 認定内科医、日本循環器学会 循環器専門医

2025年11月、「正しい情報に基づいた患者中心の医療」を実践するために、豊田かなでクリニックを開院。「おいでん病気ペディア」では、しっかりとした医学的な根拠に基づき、不必要に不安を煽らない情報の発信を行っています。

Web問診・オンライン予約・オンライン診療などのデジタルトランスフォーメーション(Dx)を取り入れ、「スムーズな体験で健康管理をもっと手軽に」するクリニックを目指しています。

今後は、AIトランスフォーメーション(AIX)を積極的に取り入れ、温かな医療で地域の皆様の健康を守る「未来の医療のカタチ」を創っていきたいと考えています。

医師紹介はこちら

 

最終更新日:2025/4/28

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME