メニュー

アレルギー検査

アレルギーの検査には、IgE抗体検査(血液検査)の他に、皮膚テスト(皮膚にアレルゲンを投与)、食物経口負荷試験(実際に食べてみる)などがあります。

当院では皮膚テスト、食物経口負荷試験は行っておりませんが、血液検査によるIgE抗体検査を行っております。

IgE抗体検査とは

IgE抗体とは、Immunoglobulin E(免疫グロブリンE)のことで、アレルギーの中でも即時型アレルギーの原因となります。

このIgE抗体の「総量」と、特定のアレルゲンに反応する「特異的IgE」の量を調べることで、その人が何にアレルギーを持っているかを推測することができます。

一方で、「特異的IgEが陽性=アレルギーというわけではない」ので、結果の解釈には注意が必要です。

そのため、症状などからアレルギーが疑われた場合などに、目的をもって検査を行うことが大切です。

例えば、アレルギーの検査でエビで検査が陽性(エビの特異的IgEが上昇)であったとします。その場合、これまでに全く問題なくエビを食べていた場合には、エビを食べることを控える必要は全くありません。アレルギーの症状がない場合には、アレルギーの検査をする必要はないというのは、こういった理由なのです。

多項目測定法と単項目測定法

多項目測定法は、40種類前後の特異的IgE抗体を1回で測定します。具体的な原因となる物質(食べ物など)がわからない場合に使用しますが、網羅されていない物質もあり注意が必要です。また、上述のように、アレルギーで困っていない物質に対するIgEを測定することで不必要に心配することなどにつながるため、きちんと検査の特性を理解して検査を受けることが大切です。

単項目測定法は、必要な項目を診察時に相談しますので、オーダーメイドの検査と表現されている場合もあります。

保険適応の関係から、1度に測定できる種類に上限がありますが、個々人に合わせたより詳細な検査を行うことができます。

特に、下記のコンポーネント検査などは、多項目の同時測定ではカバーされないため、単項目測定法がアレルギーの診断には推奨されています。

アレルギーでお困りの際は、一度主治医までご相談ください。当院では、偽陽性、および検査の意義などの観点から、個々人に合わせて必要な項目を検査することをおすすめしています。(※当院でも多項目測定法を行うことは可能ですが、単項目測定法をおすすめしています。)

※保険診療でアレルギーの検査を行う場合、オーダーメイドの検査(単項目測定法)の料金が、多項目測定法より高くなることはありません。

IgE抗体の「総量」が多い場合

特異的IgE抗体を測定する時に、同時にIgE抗体の総量(総IgE値)を測定することがあります。

IgE抗体の総量が多くなるとアレルギー疾患のリスクが高くなりますが、IgE抗体の総量が高いからといって、必ずしもアレルギー疾患を持っている、というわけではありません。2)

コンポーネント検査とは?

アレルゲンの精密検査です。例えば、卵を例にして説明します。卵には複数のアレルゲンが含まれており、オボアルブミンオボムコイドなどが有名なアレルゲンです。その他にもオボトランスフェリンやリゾチームといったアレルゲンも含まれています。

オボアルブミンは、アレルゲンの54%を占めますが、加熱することでアレルゲン性が低下します。オボムコイドは11%しか占めませんが、加熱されてもアレルゲン性が低下しません。そのため、加熱すれば卵は大丈夫だけど生卵ではアレルギーがでる、という方はオボアルブミンに対してアレルギーがある、と考えることができます。

日本では、オボムコイドに対する特異的IgE抗体検査が保険でできますので、卵アレルギーが疑われる方では、卵全体とオボムコイドに対するIgE抗体を測定することとなります。

他にも、例えばクルミアレルギーが疑われた場合には、クルミと、Jug r 1に対するIgE抗体を測ります。このように、食物アレルギーの検査は、疑わしい食品の特定が大切です。

保険で測定可能なアレルギーコンポーネント検査 (2025/4現在)

卵白:Gal d 1 (オボムコイド)

牛乳:Bos d 6 (カゼイン)、Bos d 4 (α-ラクトアルブミン)、Bos d 5 (β-ラクトグロブリン)

小麦:Tri a 19 (ω-5グリアジン)

大豆:Gly m 4 (PR-10)

ピーナッツ:Ara h 2

クルミ:Jug r 1

カシューナッツ:Ana o 3

ラテックス:Jev b 6.02

アスペルギルス:Asp f 1

よくある質問

特異的IgEが上がっていましたが、今までその食品を食べてもアレルギーになったことはありません。なぜでしょうか。

特異的IgE抗体が陽性であるからといって、アレルギーであるとは限りません。食物アレルギーにおいて、「必要最低限の除去」という原則があります。

もし、その食品を食べていても問題のない場合は、食べ続けても構いません。

どのアレルギー検査をするのがいいでしょうか?

様々なアレルギーの検査がありますが、まずは症状があることが大切と考えられています。アレルギーの症状があり、その原因を確定するために、IgE抗体検査皮膚テスト(当院非対応)、食物経口負荷試験(当院非対応)などを状況に応じて選択するのがよいと考えられています。

参考文献

  1. 厚生労働科学研究班による食物アレルギー診療の手引き2023
  2. UpToDate:The relationship between IgE and allergic disease

 

免責事項
  • この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最適な医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。
  • この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。
  • 記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。ご意見、ご指摘はこちらからお願いします。
この記事の執筆者

豊田かなでクリニック
院長:加藤友大

医学博士、日本内科学会 認定内科医、日本循環器学会 循環器専門医

2025年11月、「正しい情報に基づいた患者中心の医療」を実践するために、豊田かなでクリニックを開院。「おいでん病気ペディア」では、しっかりとした医学的な根拠に基づき、不必要に不安を煽らない情報の発信を行っています。

Web問診・オンライン予約・オンライン診療などのデジタルトランスフォーメーション(Dx)を取り入れ、「スムーズな体験で健康管理をもっと手軽に」するクリニックを目指しています。

今後は、AIトランスフォーメーション(AIX)を積極的に取り入れ、温かな医療で地域の皆様の健康を守る「未来の医療のカタチ」を創っていきたいと考えています。

医師紹介はこちら

 

最終更新日:2025/5/13

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME