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甲状腺の機能異常とは?

✔甲状腺の病気には、バセドウ病橋本病などがあります。

頻脈や動悸、手の震え、発汗の増加や体重減少、イライラするなどの症状は、甲状腺機能亢進症の可能性があります。

冷え、倦怠感、無気力、下肢のむくみ、便秘などの症状は、甲状腺機能低下症の可能性があります

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

甲状腺機能低下症(橋本病など)

甲状腺とは?

甲状腺はのどぼとけを形作っている甲状軟骨と呼ばれる大きな軟骨のすこし下側(足側)に位置しており、空気の通り道である気管の前面、頸動脈の間に位置しています。正面から見ると蝶々のような形をしています。3-5㎝程度の大きさで柔らかいため、病気のために腫れたり硬くなったりしないかぎり、体の外から触れることはできません。また、のどに位置していますが、呼吸や発生、飲み込みとは直接関係しません。

甲状腺の働き

甲状腺の働きは、食べ物の中に含まれるヨウ素を原料にして甲状腺ホルモン(T3、T4など)を作り血液中に分泌することで全身の新陳代謝を調節することであり、生命維持に必要です。甲状腺ホルモンの働きは非常に多彩であり、全部説明するのはとても難しいですが、代表的な作用として以下のようなものがあります。

1:糖分や脂肪を分解して生命維持に必要なエネルギーを作り出す
  • 脳や心臓など様々な臓器が正しく機能する
  • 体温を適切に保つ
2:成長や発達を促す
  • 脳や神経を発達させて知能を伸ばす
  • 発育期に骨の成長を促す

また、甲状腺は単独で働くわけではありません。血液中の甲状腺ホルモンが常に一定の値を維持できるよう、脳の視床下部や下垂体からでるホルモン(TSH)によって甲状腺の働きは調整されています。

甲状腺の病気について

甲状腺の病気は、大きく下記の2つに分けられます。

  1. 甲状腺ホルモンが多すぎる/少なすぎる病気
  2. 甲状腺にできものができる病気
1:甲状腺ホルモンが多すぎる/少なすぎる病気について
成人の方で甲状腺ホルモンが多すぎる場合

暑がりになる 汗を多くかく つかれやすい 動悸がする 息切れがする、なんとなく落ち着かない 手が震える 不妊 食欲はあるのに体重が減る

成人の方で甲状腺ホルモンが少なすぎる場合

何をするにも気が進まなくなる 寒がりになる 声がかすれる むくむ 髪の毛や眉毛が薄くなる 食欲がない 不妊 体重が増加した

甲状腺ホルモンが多すぎる/少なすぎる病気には様々な原因があり、原因によって治療方法が異なります。

甲状腺機能亢進症

勝手に甲状腺ホルモンが次々と作られる状態。ほとんどは長い期間継続します。

破壊性甲状腺炎

何らかの原因で甲状腺が壊されてしまい、甲状腺の中にたまっていた甲状腺ホルモンが一気に放出されてしまう状態。多くの場合一時的です。

甲状腺ホルモン剤の過剰投与

甲状腺ホルモン剤の量が多過ぎる、もしくは、患者さん自身が指示された以上の量を飲む。サプリなどに甲状腺ホルモンが含まれていた、という場合もあります。

では、甲状腺機能亢進症と破壊性甲状腺炎の種類を、もう少し詳しく見てみましょう。

甲状腺機能亢進症の原因となる病気

最も多いのは、バセドウ病です。その他に、妊娠一過性甲状腺機能亢進症、機能性甲状腺腫、非自己免疫性、家族性甲状腺機能亢進症などがあります。

破壊性甲状腺炎の原因となる病気

最も多いのは、無痛性甲状腺炎です。その他に、亜急性甲状腺炎、化膿性甲状腺炎、薬剤性甲状腺炎などがあります。

甲状腺ホルモンが少なすぎる病気について

甲状腺ホルモンが少なすぎる状態のことを甲状腺機能低下症といいます。甲状腺機能低下症の原因は様々ですが、大きく下記の2つに分けられます。

  • 甲状腺ホルモンの作る甲状腺自体の異常(原発性甲状腺機能低下症)
  • 甲状腺ホルモンを作るよう指令を出す視床下部・下垂体の異常(続発性甲状腺機能低下症)

そのなかでも最も多いのは橋本病(慢性甲状腺炎)を中心とした原発性甲状腺機能低下症です。

甲状腺機能の検査

甲状腺の機能検査では、主に下記3つのホルモンを測定します。

遊離サイロキシン(Free T4; FT4)

サイロキシン(T4)は甲状腺で作られる主要なホルモンで、甲状腺ホルモンの大部分を占めます。T4は遊離型(FT4)のみが生理活性を持つため、検査ではFT4を測定します。T4は、肝臓などでより活性の強いT3に変換され、体内でホルモンとしての働きをもちます。

遊離トリヨードサイロニン(Free T3; FT3)

T4から生成される生理活性のあるホルモンです。T3は、エネルギー代謝、成長、神経系の発達などにかかわり、体の中で多くの大切な役割を担っています。T3は遊離型(FT3)のみが生理活性を持つため、検査ではFT3を測定します。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

サイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)の2つのホルモンに加え、TSHも甲状腺機能の大切な指標となります。甲状腺ホルモンの分泌は、視床下部や下垂体で調節されます。TSHは下垂体から分泌され、甲状腺ホルモンの分泌を促すホルモンです。そのため、一般的には、甲状腺ホルモンが過剰に多い状態(甲状腺機能亢進症)ではTSHは低下し、逆に甲状腺ホルモンが不足している状態(甲状腺機能低下症)ではTSHは上昇します。(このようなフィードバックをネガティブフィードバックと呼びます。)

 

その他の甲状腺の検査

血液検査
抗TSHレセプター抗体(TRAb)

バセドウ病で上昇します。

抗サイログロブリン抗体(TgAb)

橋本病で上昇します。バセドウ病でも上昇することがあります。

抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)

橋本病で上昇します。

エコー検査
甲状腺エコー

甲状腺の腫れなどの状態や、腫瘍がないかなどの確認を行います。

穿刺吸引細胞診検査

甲状腺で腫瘍が疑われる場合などに行われます。甲状腺に針を指して、細胞を吸引し検査を行います。(ご紹介での検査となります。)

甲状腺に関してのその他のページ

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

甲状腺機能低下症(橋本病など)

この記事は、専門医の先生のファクトチェック・監修を受けています。

参考文献

UpToDate:Laboratory assessment of thyroid function

 

免責事項
  • この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最適な医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。
  • この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。
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この記事の執筆者

豊田かなでクリニック
院長:加藤友大

医学博士、日本内科学会 認定内科医、日本循環器学会 循環器専門医

2025年11月、「正しい情報に基づいた患者中心の医療」を実践するために、豊田かなでクリニックを開院。「おいでん病気ペディア」では、しっかりとした医学的な根拠に基づき、不必要に不安を煽らない情報の発信を行っています。

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今後は、AIトランスフォーメーション(AIX)を積極的に取り入れ、温かな医療で地域の皆様の健康を守る「未来の医療のカタチ」を創っていきたいと考えています。

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最終更新日:2025/4/12

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