インフルエンザ薬の予防内投与
インフルエンザ薬の予防投与とは?
インフルエンザに感染した方と接触した場合、抗インフルエンザ薬を48時間以内に内服することで、発症を予防できることが研究で示されています。1)
これを「予防投与(または予防内服)」といいます。
原則として、添付文書(薬の説明書)では下記の方が対象になります。
対象者
インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の人。
- 65歳以上
- 呼吸器または心臓に慢性的な疾患がある人
- 糖尿病などの代謝性疾患がある人
- 腎機能障害のある人
インフルエンザの予防には、まずワクチン接種が重要です。ワクチンを接種することで、シーズンを通しての発症予防、重症化予防が期待できます。
一方で、予防投与では、内服をしている短期間しか効果が期待できません。
また、安易な予防投与は耐性菌の増加につながるため、控えることが大切です。
薬剤の安全性はある程度確認されておりますが、大きな副作用が出た場合、上記に当てはまらない方の内服は、医薬品副作用救済制度の対象外となる可能性があります。
医薬品副作用救済制度とは
医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度のことです。
料金
保険適応外であり、自由診療となります。
オセルタミビル(タミフルの後発薬):8,000円(10日分、税込、診察料込)
ラニナビル(イナビル)、ザナミビル(リレンザ)は院内での取り扱いはございません。調剤薬局での処方となります。
当院での診察料4,000円の他に、調剤薬局での薬剤費が発生します。
調剤薬局での費用:イナビル:約5,000〜7,000円、リレンザ:約3,000円〜5,000円(当院しらべ)
予防目的のゾフルーザは処方しておりません。
お薬の種類
タミフル(オセルタミビル)
飲み薬です。1日1回(治療では2回)内服します。7〜10間内服します。
吐き気や頭痛などが出ることがあります。
リレンザ(ザナミビル)
吸入薬です。
1日1回、10日間。(治療薬では、1日2回、5日間の吸入です。)
イナビル(ラニナミビル)
吸入薬です。
10才以上では2キットを1日、もしくは、1キットを2日間吸入します。
10才未満では、1キットを1日吸入します。
のどの違和感や咳が出ることがあります
注意点
予防投与を受けるご本人が必ず受診してください。
予防投与をしても、100%防げるわけではありません
手洗い・マスク・換気などの基本的な予防は引き続き必要です
健康保険は使えず、自由診療(自費) になります
副作用が出ることもありますので、体調に変化があればすぐにご相談ください
参考文献
UpToDate:Seasonal influenza in adults: Role of antiviral prophylaxis for prevention