にきび
✔しっかりとしたスキンケアをしていただいてもにきびがなかなか治らない方には、塗り薬の継続使用が効果的です。
✔状態に応じて、ベピオ(過酸化ベンゾイル)、ディフェリン(アダパレン)、抗菌薬などを使って治療していきます。
ニキビ(尋常性ざ瘡)とは?
ニキビとは、皮脂などで毛穴が詰まってしまい、皮膚に炎症が引き起こされるものです。すぐに治るものもありますが、時に難治性となります。
院長自身もにきびには悩まされてきました。特に以前までは使用できる薬の種類も少なく、院長が10代のころは、ニキビのためにわざわざ病院に行く、という習慣はありませんでした。今でもニキビ跡が残る結果となっており、今のような薬があったらよかったのに、と思っています。
一度ニキビが瘢痕化すると、なかなかきれいな皮膚に戻すことは大変です。ニキビでお困りの方は、是非、当院にご相談いただければと思います。
にきび治療の原因からみたアプローチ1)
①皮脂・角質での毛穴の詰まり
→ピーリング作用のある塗り薬などの使用
具体的には、ディフェリン(アダパレン)などを使用します。
②アクネ菌(Cutibacterium acnes)による炎症
→抗菌薬など、ニキビ菌と戦う薬の使用
具体的には、ベピオ(過酸化ベンゾイル)や抗生剤(塗り薬・飲み薬)などを使用します。
症状
にきびの症状には、以下のようなものがあります。
黒ずみや白いブツブツ(黒ニキビ、白ニキビ)
赤みを帯びた腫れ(赤ニキビ)
嚢胞
瘢痕
ニキビの予防
食生活の改善
バランスの良い食事が重要です。
スキンケア
優しい洗顔と保湿で、肌の健康を維持します。
薬物治療
塗り薬
ベピオ(過酸化ベンゾイル)やディフェリン(アダパレン)などの薬剤がまずは使われることが多いです2)が、状況に応じて抗菌薬を使用することもあります。どちらも皮膚の刺激感が気になるという方が時々いらっしゃいますが、刺激が気になる場合は、塗る頻度を2日に1回にする、量を控えめにする、保湿剤を併用するなどの対策が必要です。1-2週間塗り続けることで、刺激感が気にならなる方も多いです。
ベピオ(過酸化ベンゾイル)やディフェリン(アダパレン)などの塗り薬はどちらも、2-3ヶ月しっかりと塗り続けることが大切です。
ディフェリン(アダパレン)
皮膚の角化を調節することで、毛穴のつまりを取り除く効果があります。多くのタイプのニキビに有効であり、また、ニキビ跡の抑制にも有効です。国際的にもニキビ治療でよく用いられています。2)効果を実感するまでに2週間〜3ヶ月ほど、しっかり塗り続ける必要があります。洗顔後に、1日1回使用します。
顔全体に塗る場合には、人差し指の先から第一関節までチューブから絞り出した長さの1FTU(finger tip unit)が目安となります。
※1FTUとは、ステロイド外用薬などをぬる目安で、約0.5gとなります。ローションタイプの場合は、1円玉大くらいとなります。手のひら2枚分の広さに塗る目安となります。
※ディフェリンは使いはじめから2週間以内に、赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの刺激症状があらわれることがあります。刺激感は一時的なもののことが多いです。
※ディフェリン使用中は刺激を感じやすいため、日焼けにご注意ください。
※妊娠中・授乳中の方は使用できません。
ベピオ(過酸化ベンゾイル)
ニキビの原因菌であるアクネ菌などに対する殺菌作用と、皮膚のピーリング作用があります。海外では古くから使用されていましたが、薬剤耐性菌の報告がなく、長期間安心して使用できるお薬です。効果を実感するまでに2週間〜3ヶ月ほど、しっかり塗り続ける必要があります。また、使用をやめるとニキビが再度できてしまうこともありますが、治療を継続することでニキビになりにくい肌を目指すことができます。
洗顔後に、1日1回使用します。
顔全体に塗る場合には、人差し指の先から第一関節までの長さの1FTU(約0.5g)が目安となります。
※1FTUとは、ステロイド外用薬などをぬる目安で、約0.5gとなります。ローションタイプの場合は、1円玉大くらいとなります。手のひら2枚分の広さに塗る目安となります。
※ベピオは使いはじめに、赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの刺激症状があらわれることがあります。多くの場合、1ヵ月を過ぎると刺激を感じる頻度は減っていきます。
※100人に3人程度の割合でかぶれ(接触性皮膚炎)が起こることがあります。強い赤みやかゆみが出現した際には、使用を中止し、医師に相談してください。
※ベピオには漂白作用があるため、服や髪の毛などにつかないようにお気をつけください。
エピデュオ(ディフェリン + ベピオ)
上記2つの薬の配合剤であり、作用も強力です。一方で、使い始めの皮膚の刺激感や乾燥などの副作用もディフェリン、ベピオ単剤よりも強いため、注意が必要です。
抗菌薬の塗り薬
ゼビアックスローション (オゼノキサシン)
1日1回でよいのがメリットですが、成分にエタノール(アルコール)を含むため、アルコールでかぶれる方には使用できません。
アクアチムクリーム (ナジフロキサシン)
1日2回使用します。
ダラシンゲル (クリンダマイシン)
抗菌薬の内服薬
重症の場合には、抗菌薬の内服をする場合があります。長期に抗菌薬を飲み続けることにはデメリットも多いため、まずは塗り薬から始めるのが一般的です。ビブラマイシン(ドキシサイクリン)という抗生剤が代表的です。3,4)
まとめ
にきびは、多くの人が経験する皮膚の悩みの一つですが、時として難治性となります。にきびはお薬を上手に使うことで、しっかりとコントロールできます。当院では、にきびの診断と治療、皮膚ケアに関するアドバイスを提供しています。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
参考文献
1)UpToDate:Pathogenesis, clinical manifestations and diagnosis of acne vulgaris
2)UpToDate :Acne vulgaris overview of management
3)Johns Hopkins ABX Guide
4)日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023
免責事項
- この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最適な医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。
- この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。
- 記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。ご意見、ご指摘はこちらからお願いします。
豊田かなでクリニック
院長:加藤友大
医学博士、日本内科学会 認定内科医、日本循環器学会 循環器専門医
2025年11月、「正しい情報に基づいた患者中心の医療」を実践するために、豊田かなでクリニックを開院。「おいでん病気ペディア」では、しっかりとした医学的な根拠に基づき、不必要に不安を煽らない情報の発信を行っています。
Web問診・オンライン予約・オンライン診療などのデジタルトランスフォーメーション(Dx)を取り入れ、「スムーズな体験で健康管理をもっと手軽に」するクリニックを目指しています。
今後は、AIトランスフォーメーション(AIX)を積極的に取り入れ、温かな医療で地域の皆様の健康を守る「未来の医療のカタチ」を創っていきたいと考えています。
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最終更新日:2025/2/28